文学者たちの痕跡

忘却されつつある文学者の闘争について書きとどめておきたいと思います。

浜田省吾  RISING SUN -風の勲章

  浜省こと浜田省吾といえばアップテンポ調ならデビュー曲の「路地裏の少年」や「東京」「MONEY」、バラード曲なら「もう一つの土曜日」「ロマンスブルー」「ラストダンス」はファンでなくても知っているかもしれない名曲といえよう。

 

 しかし今日は、掘り出し物隠れた名曲、自分の中ではシングル曲にすべき曲に焦点を当ててみたい。

 

それは「RISING SUN―風の勲章」だ。

 

 メッセージ性のある曲は最近は見られなくなった。反体制とかいっても福祉国家に何を反抗するのか、教育機関もほぼ機能しなくなり教師が生徒とモンスターペアレントにビビる今、何かに訴える音楽が時代にそぐわないといわれても無理はないし若者が求めているものではないのかもしれない。私自身、20代の大学生がSEALDsと名乗り国会議事堂前でデモ活動をしているのを見て、ナゼ君たちが?という気になる。本当に必要に迫られているとは思えない。

 

 RISING SUN は敗戦後、焼け野原から高度成長期を経てアメリカに次ぐ経済大国に昇りつめた懸命な努力とその背後にある歪んだコンプレックスがもたらす異様な光景を描写している。

 

 a) 脇目も振らない努力、b) 異様な光景、c) バブルが崩壊する直前の岐路に立つ浜省の歌詞を抜粋しよう。

 

a )  飢えを枕に  敗北を発条(バネ)に

  風向きを道しるべに  駆け抜けてきた

 

b )  飽和した都会 集う家は遠く

  ブラウン管の前でしか笑わぬ子ども       

 

c )   焼け跡の灰の中から  強く高く飛び立った

  1945 打ちのめされ  砕けた心のまま

  1945   焼け跡から  遠く飛び立った 今

 

 この曲はメロディーもかっこよく仕上がっている。ユーチューブなどでぜひ拝聴してほしい。確か、30年ほど前にある雑誌でサザンオールスターズ桑田佳祐が「井上陽水松山千春の重さには辟易する、これからは感性、カッコいい軽さの時代だ」というようなことをいっていた。

 

 しかし、浜省のこの隠れたメッセージ性をもつ名曲は「カッコいい重さ」を持つと思う。ファンであることを割引いても、同じタイトルでEXILEの「Rising Sun/いつかきっと」より数段勝っていると思う。

 

 これは日本という国家の敗北、そして外交、文化といったものを顧みず一途な経済成長を成し遂げた姿を描写している。しかしこれは私たち個人にとっても適応できる。受験戦争での蹉跌、失恋の痛手、あるいは学校でのイジメ、いやがらせなどでの屈折をバネにガムシャラに努力してきて辿り着いた場所、あるいはその途上において何かしらの虚無を感じた者にも問題を提起する曲だ。

 

 

FATHER’S SON

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